スマートフォンの普及によって手軽にインターネットにアクセスできるようになったこともあり、サブスク型サービスが増えています。
令和3年版 情報通信白書では「動画配信サービスにおいて、従来のダウンロード課金型サービスに対し、視聴し放題で利用できる定額制(サブスクリプション)サービスのシェアが大きく上昇している」と振り返ったうえで、「今後の市場規模は、ダウンロード課金型が横ばいであるのに対し、定額制は大きく伸長すると予想されている」と記載しています。
世界の動画配信市場規模・契約数の推移及び予測
(出典:令和3年版 情報通信白書)
サブスクは利用しているけれど・・・
「そもそもどのようなビジネスモデル?」「メリットとデメリットは?」「ビジネスとして収益の仕組みがわからない」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、サブスク型ビジネスモデルについて詳しく解説していきます。
目次
サブスク型ビジネスモデルの基本
サブスク型ビジネスモデルは「ストック型」と言われています。
従来の買い切り型の、いわゆる「フロー型」のビジネスモデルと違い、利用者が継続的に月単位や年単位の定額を支払うことで収益をあげる仕組みです。
代金を一括で支払う買い切り型のビジネスモデルと違い、1回あたりの支払いが低額なサブスク型ビジネスモデルでは、高い営業力が無くとも新規利用者の獲得が容易になります。また継続的な利用者がいる事で収益予測が立て易く、安定した事業運営が可能になります。
サブスク型サービスの代表例としては
- 音楽配信サービス
- 動画配信サービス
- 電子書籍
- オンライン語学スクール
などが挙げられます。
また最近では、オンラインのデジタルコンテンツだけでなく、カーシェアやアパレル等オフラインの領域でも、サブスク型サービスが増えています。
サブスク型ビジネスモデルの主な事例3選
サブスク型ビジネスモデルの主な事例を紹介します。
Spotify
音楽配信サービス「Spotify」は、スウェーデンの企業が運営しています。
非常に早いタイミングでストリーミング配信サービスを開始しており、利用者数は世界で4億5,000万人を突破しています。
実に7,000万曲以上が聴き放題で、懐かしい楽曲から最新楽曲まで、無料でも楽しむことができます。
Amazon Prime Video
世界最大のeコマースを展開するAmazonの動画配信サービスです。
世界中の映画やドラマ、アニメなど幅広いコンテンツを楽しむことができます。
その最大の特徴は、「月額500円」という料金の安さで、世界で2億人以上が利用しています。
またAmazon独占タイトルやPrimeVideoオリジナル作品も、人気の理由です。
Kindle Unlimited
Amazonが提供している、電子書籍の読み放題サービスです。
漫画や雑誌、文庫など200万冊以上の電子書籍を楽しむことができ、月額980円から利用できるため、月に数冊読むだけで十分に元が取れます。
また、定期的に低額で利用できるキャンペーンがある事も特徴の一つです。
スマートフォンやタブレットで手軽に読書を楽しむことができるため、場所や時間を問わない幅広いシーンで利用されています。
サブスク型ビジネスモデルのメリット・デメリット
事業者側のメリット
サブスク型ビジネスモデルのメリットを事業者の視点からフォーカスすると、継続的に売上が見込める点が挙げられます。
サブスク型ビジネスモデルは、月単位や年単位で定額課金する利用契約のため、長期利用者がいれば継続した利益が見込めます。
1契約あたりの売上の構造は「利用者数×定額利用料×利用期間」となりますので、長期利用者数が確保できれば定額利用料を低く抑えても、利益を見込むことができます。
利用の頻度や履歴といったデータの蓄積で、サービスの改善点が見つけやすい事も、サブスク型ビジネスモデルのメリットの一つです。分析に基づいた新しいコンテンツの投入や、パーソナライズされたオススメ情報の配信で、より長期的な利用を促進する事が可能になります。
また前述のとおり、1回あたりの支払いが低額なため、高い営業力が無くとも新規利用者の獲得が容易な事も、サブスク型ビジネスモデルのメリットです。
利用者側のメリット
利用者側から見たサブスクのメリットには、初期費用なしの定額で多くのコンテンツを楽しむことができる、コストパフォーマンスの高さが挙げられます。
また多くのサービスでは「初月無料」や「お試し期間」を設けており、自分に合わないものは無料期間中にやめる事ができる、サービス加入のハードルの低さもメリットの一つです。
また動画配信サービスや音楽配信サービスでは、個別にコンテンツを買う必要がないため、自分が好きなものだけでなく、ふと興味が湧いたものでも手軽に観(み)聴きする事ができます。
ハズレ買いの心配なく、自分が知らなかった作品に触れる事ができるのも、サブスクならではの魅力です。
事業者側のデメリット
サブスク型ビジネスモデルのデメリットには、事業の黒字化にある程度の時間を要する点が挙げられます。
販売した時の利益が大きい買い切り型のビジネスモデルと比べ、少額課金のサブスク型ビジネスモデルで収益を上げるためには、多くの利用者を集める事が必要となります。「どれだけの利用者を、どれだけの短期間で集める事ができるか」が、事業の成否の鍵となります。
また前述の「サービス改善に取り組みやすい」というメリットは、裏を返すと「継続的にサービスを改善し続けなければ利用者は離れていく」というリスクにもなります。
利用者側のメリットに、サービス加入のハードルが低い事を挙げましたが、こちらも言い換えれば、競合他社のサービスに乗り換えてしまうことも容易ということになります。
利用者の減少を防ぐためには、継続的なサービス改善により、競合他社や後発サービスに劣らない競争力を維持していく必要があります。
利用者側のデメリット
サブスク型サービスを利用する側のデメリットには、月単位や年単位など、決められた期間に応じた定額課金のため、少ない利用でも一定の料金が発生する点が挙げられます。
利用頻度によっては、買い切り型のサービスよりもコストパフォーマンスが悪くなることもあります。
またサービスに、必要ないコンテンツや機能が多く含まれている場合、定額である事に不公平感を感じてしまうことがあります。サービス加入にあたっては、「自分が欲しいものが多く含まれているか」「サブスクで割に合うか」、無料期間中に確認しておきましょう。
サブスク型ビジネスを始めるために必要なものとは?
サブスク型ビジネスを始めるためには、以下の準備が必要になります。
ターゲットを選定し、サービスメニューを確定
まず通常のマーケティングと同様に、自社の強みと弱みを振り返り、どのようなターゲットに、どのようなサービスを提供するのか、考えましょう。
ターゲットは、性別、職業、地域、生活様式などペルソナを設定して、決めていきます。
ターゲットを決めた後は、そのターゲットのニーズを考え、サービスメニューを決めていきます。
サービスメニューを決めた後は、あらためて5W2Hを明確にした具体的な商品設計を起こします。
マーケティングの5W2H
Who(誰に) | 狙うべき顧客層 | |
理想的な顧客の明確化 | ||
What(何を) | どんなサービス? | |
顧客はどんな価値を得るか? | ||
Why(なぜ) | 何に惹かれて購入するか? | |
競合よりも自社を選ぶ理由は? | ||
When(いつ) | 購入時期 | |
どういう場面で購入するか? | ||
Where(どこで) | 販売ルート | |
How(どのように) | 顧客接点 | |
How Much/How Many(いくら、いくつ) | 商品単価 | |
粗利率 |
ターゲットのニーズとサービスメニューのマッチングは、サブスク型サービスの成否に大きく関わります。この点は特に重視しましょう。
収益モデルを決める
ターゲットとサービスメニューが決まったら、収益化の方法を決めていきます。
サブスク型ビジネスモデルは、「月額1,000円で動画見放題」「月額500円で1,000万曲が聴き放題」といったように低額から利用できる、サービス加入のハードルの低さが集客のポイントとなります。
どのように集客し、その上でサービスを継続利用してもらい、収益を上げていくか、そのためには
- サービス加入のハードルを下げる「お試し期間」や「エントリープラン」を設ける
- 継続利用のための付加価値提供
- 集客と収益のバランスを計った価格設定
といったポイントを意識すると良いでしょう。
システムの構築
ターゲット、サービスメニュー、収益モデルが決まったら、サービスの提供に必要なシステムを構築します。
提供するサービスメニューやターゲットによって、適切な決済方法を選びましょう。
必要となるシステムのサイズは、利用者数によって変わってきます。スモールスタートと拡張性の両方を備えたものを選びましょう。
サブスク型ビジネスモデルでチェックすべき項目
LTV
サブスク型ビジネスモデルでは、利用者のLTV(Life Time Value)の値の高さがビジネス成功の判断基準となります。
LTVの計算方法は、商材によって変わりますが、サブスク型ビジネスモデルでは、
利用料×利益率×継続期間×継続率
で表すことができます。
例えば、月額利用料:1,000円、利益率:50%、継続期間:24か月、継続率:85%とした場合は、10,200円となります。
このLTVを高めるポイントは、継続率を高めること、言い換えれば、解約率を抑えることです。計算式上は利用料金や利益率等、他の係数もありますが、価格競争力やコンテンツの調達費用との見合い上、こちらを上げるのはなかなか容易ではありません。
利用者の満足度を高め、解約を抑えるには、カスタマーサクセス担当(部門)の設置などの取り組みが求められます。
KPI設定
KPI(Key Performance Indicator)とは、最終的なゴールを達成するための中間指標のことで、目標までの進捗状況や日々の業務パフォーマンスを測るために設定します。
サブスク型ビジネスモデルでは、「継続率」と「アップセルとクロスセル」にKPIを設定しましょう。
「継続率」は、LTVにおいてとても重要な係数です。また「アップセルとクロスセル」は、継続率と同様に重要な係数「利用料」を高めるために、必要な施策となります。アップセルは上位プランへの乗り換え促進、クロスセルはリコメンド機能による複数サービスの利用促進により、顧客単価を向上させる施策です。
サブスク型ビジネスモデルを構築するならしっかりと計画を
サブスク型ビジネスモデルについて、概要や事例、メリット・デメリットなどを解説しました。
安定した経営を目指すならサブスク型ビジネスを検討してみてはいかがでしょうか?
サブスク型ビジネスモデルは、これからも多くの分野で参入と成功の可能性が開けています。
ただし、買い切り型のビジネスモデルと比べて新規利用者を獲得しやすい反面、事業として収益を上げるまでに時間を要するため、綿密な計画が必要となります。
ぜひこの記事を、サブスク型ビジネスの検討にお役立てください。