サブスク決済代行システムとは、サブスクリプションビジネスの「決済」に関する業務を自動化するツールです。顧客・受注管理や月々の料金計算、請求、決済代行の自動化により、業務効率の向上が期待できます。
本記事では、サブスク決済代行システムの仕組みやメリット、デメリットを詳しく解説します。実際の導入事例や選び方のポイント、おすすめサービスの比較もおこなっていますので、サービス導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
サブスク決済代行システムとは
サブスク決済代行システムは、サブスクリプションサービスの運営を支える重要な仕組みです。ここでは、サブスクリプションサービスの仕組みと、サブスク決済代行システムの仕組みについて解説します。
サブスクリプションサービスの仕組み
サブスクリプションサービスとは、定額制で継続的にサービスを利用できるビジネスモデルです。顧客は定期的に料金を支払い、サービスを継続して利用します。解約するまでは自由にサービスや商品を利用できますが、解約後は利用できなくなるのが一般的です。
サブスクリプションサービスは「サブスク」と呼ばれており、さまざまな業界で導入されています。代表的な例として、以下が挙げられます。
業界 | サービス例 |
---|---|
動画配信 | Netflix, Hulu |
音楽配信 | Spotify, Apple Music |
ソフトウェア | Adobe Creative Cloud |
電子書籍 | Kindle Unlimited,楽天マガジン |
食材宅配 | Oisix, パルシステム |
ファッション | MECHAKARI |
車 | KINTO, ENEOSカーリース |
サブスクリプションサービスには、顧客と企業双方にメリットがあります。顧客にとっては、定額で多様なコンテンツやサービスを利用できる点や、必要なときに必要なだけ利用できる柔軟性が魅力です。
一方、企業側は安定的な収益が見込めるほか、顧客との長期的な関係構築が可能になります。これにより、顧客ニーズの理解や、サービス改善につなげやすくなるメリットがあります。
サブスク決済代行システムの仕組み
サブスク決済代行システムとは、企業がサブスクリプションモデルを採用する際に必要な決済処理を、外部の専門業者が代行するサービスです。サブスク決済代行システムを利用することで、顧客・受注管理や月々の料金計算、請求、決済まで、あらゆる業務をサポートしてもらえます。
サブスク決済代行システムが代行してくれる業務には、以下のようなものがあります。
- 自動継続課金
- 顧客・受注管理
- 対応履歴管理
- 請求額計算
- Web請求書発行
- 請求書のデータ保存
- 売上レポート生成
決済代行システムの利用は、顧客と企業の双方にメリットがあります。顧客にとっては、支払い手続きが簡素化され、個人情報がより安全に保護されます。一方、企業側では決済処理の自動化により、業務効率が大幅に向上します。
決済に関する煩雑な作業を代行することで、事業者はサービス提供に集中でき、顧客は快適にサービスを利用できるのです。
サブスク決済代行システムのメリット
ここでは、サブスク決済代行システムのメリットを具体的に掘り下げていきます。メリットを理解することで、サブスク決済代行システム導入の意義や効果を明確に把握できます。
サブスクリプションサービスをすぐに始められる
サブスク決済代行システムの導入により、事業者は迅速にサブスクリプションサービスを開始できます。決済システムの構築が不要かつ専門知識がなくても運用できるため、短期間でサービスを立ち上げられるからです。
自社構築の場合、開発期間は数カ月から1年以上かかることがありますが、決済代行システムを利用すれば数週間程度で開始できます。決済に関する法的規制やセキュリティ対策などの専門的な知識がなくても、安全にサービス提供を開始できるのもメリットでしょう。
多くの決済代行システムは複数の料金プランを用意しているため、事業規模に応じた選択が可能です。これにより、小規模な事業者でも低コストでサービスを開始できます。
顧客満足度の向上につながる
サブスク決済代行システムの導入は、顧客満足度の向上に貢献します。例えば、顧客は自分に合う支払方法を選択できたり、手続きなしにサービスを継続して利用できたりします。
また、顧客の対応履歴や顧客情報の変更履歴を一元的に蓄積できるため、問い合わせに対してスムーズに対応できるのも強みです。さらに、サブスク決済代行システムを通じた顧客データの収集や分析が容易になり、利用者のニーズに合わせたサービス展開が可能になります。
このように、サブスク決済代行システムの利用は顧客満足度を高め、長期的な顧客との関係構築に寄与します。継続的な利用により、ビジネスの安定的な成長へとつながるでしょう。
顧客情報を厳重に管理できる
サブスク決済代行システムを利用することで、顧客情報を厳重に管理できます。例えば、専門的なセキュリティ対策として、高度な暗号化技術の採用や24時間365日のモニタリング体制、定期的なセキュリティ監査の実施などがサービスに盛り込まれています。
また、PCI DSS(決済カード業界のセキュリティ基準)への準拠やGDPR(EU一般データ保護規則)などの国際的な規制へ適応しているシステムが多いのも強みです。これにより、法的リスクを軽減し、安心してビジネスを展開できます。
サブスク決済代行システムを利用することで、自社で顧客情報を管理するよりも高度なセキュリティを実現し、情報漏えいや不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。結果として、企業の信頼性向上につながり、顧客との長期的な関係構築に寄与します。
サブスク決済代行システムのデメリット
サブスク決済代行システムには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。自社のニーズに合った最適なシステムを選択するには、デメリットを理解しておくことが重要です。
以下では、サブスク決済代行システムの主な2つのデメリットについて、詳しく解説します。
運用のコストがかかる
サブスク決済代行システムを導入すると、運用にかかるコストが発生します。主なコストは、以下の通りです。
- 初期導入費用
- 月額利用料
- 決済手数料
- システムメンテナンス費用
決済手数料がかかる場合、売上が増えるほど手数料も高くなり、利益が圧迫される恐れがあります。また、新規事業の立ち上げ時には、初期導入費用が大きな負担となるケースもあるでしょう。
サービス提供側のトラブルリスクがある
サブスク決済代行システムを導入する際には、サービス提供側のトラブルリスクについても考慮する必要があります。主なリスクとして、以下が挙げられます。
- システムダウン
- セキュリティ侵害
- 決済エラー
- データ損失
特にシステムダウンは、顧客の利用に直接影響を与えるため大きな問題となります。例えば、決済システムが停止すると新規契約や更新ができなくなり、ビジネス機会を逃す可能性があります。
また、セキュリティ侵害によって顧客の個人情報や決済情報が漏えいした場合、企業の信頼を大きく損なう事態を招きかねません。
サブスク決済代行システムを導入した企業事例
サブスク決済代行システムを導入することで、多くの企業が業務効率化やビジネス拡大に成功しています。ここでは、サブスク決済代行システム「CollaboOne」を実際に導入した企業の事例を2つ紹介します。
自社に最適なシステム選びのヒントを見つけ、導入をスムーズに進めて事業成長につなげる参考にしてみてください。
機能性向上とコスト削減を実現した企業
飲食店向け会員サービスを提供するA社では、従来のオンプレミス型のシステムから「CollaboOne」に移行したことで、受注管理において月に約15時間の工数削減を実現しました。
CollaboOneは必要な項目だけを過不足なく設定できるため、受注登録時に登録する項目を3割ほど削減できたといいます。また、クラウド移行により物理的なサーバー管理が不要になったことで、開発・運用面での負担も軽減したそうです。
さらに、CollaboOne導入をきっかけに社内全体で業務改善への意識が高まり、継続的な業務改善の取り組みへと繋がっています。
サブスク決済代行システムを選ぶ際は、機能やサポート体制、コストなどあらゆる面から比較・検討をおこなったそうです。全体的なバランスがとれていながら、低コストであることがCollaboOne導入の決め手となりました。
参照:脱オンプレミスで機能性向上とコスト削減を実現。CollaboOne導入から始まった社内の意識改革
スピード感のあるビジネス拡大に成功した企業
通信サービスを提供するB社は、時間的制約のあるなか、複雑かつ難解なサービスを確実にスタートさせるために「CollaboOne」を導入しました。その結果、数百社もの代理店とのスピーディーな情報共有を実現し、急速なビジネス拡大を実現しています。
業務面では、CollaboOneの導入により受注から料金計算までのプロセスが自動化され、業務効率が大幅に向上したといいます。CollaboOne導入前は、代理店が入力したオーダー内容を別システムに手入力する必要があり、1件あたり5分程度かかっていたそうです。
導入後は、代理店が入力したデータが自動的にバックヤードに連携されるようになり、従来は一日6~7時間かかっていた作業が不要になりました。これにより、圧倒的な業務効率化を実現しています。
システムの選定にあたっては、開発元が同業者であり業界特有のニーズを熟知していたこと、スピーディーな対応とわかりやすい説明を心がける開発スタッフの姿勢が決め手となったそうです。
参照:複雑な代理店ビジネスを飛躍的に効率化。業務拡大を支える「人が見えるシステム」とは
サブスク決済代行システムを選ぶときのポイント
サブスク決済代行システムを選ぶ際は、以下の4つのポイントに注目しましょう。
信頼できるベンダーが提供しているか | 実績や評判 サポート体制の充実度 |
サービスの内容が充実しているか | 決済手段の多様性 レポート機能の有無 |
セキュリティシステムは厳重か | PCI DSSなどの国際基準への準拠 不正利用対策の有無 |
トータルでかかるコストはいくらか | 初期費用, 月額費用, 決済手数料 |
信頼できるベンダーが提供しているか
サービス導入後、ベンダーとは長期的な付き合いになるため、信頼できる相手かどうかは大きな決め手となります。具体的には、以下のポイントに注目してみてください。
経営基盤が安定し、手厚いサポート体制を持つサービス業者を選ぶことで、安心してサービスを利用できるでしょう。
サービスの内容が充実しているか
充実したサービス内容は、業務効率化や顧客満足度の向上につながり、ビジネスの成長を後押しします。以下のポイントを中心に、チェックしてみてください。
決済方法 | ・クレジットカード ・銀行口座振替 ・WEB口座振替 ・コンビニ決済 ・電子マネー ・キャリア決済 ・後払い決済 |
請求書発行 | ・定額・従量、複数購入割引などの多様な料金プランやキャンペーン、日割りなどに対応した料金計算 ・インボイス制度に対応した適格請求書の発行 ・カスタマイズ可能な請求書テンプレート |
顧客管理 | ・顧客情報の一元管理 ・支払い履歴の確認 ・顧客情報の変更履歴の蓄積 |
その他 | ・業績管理・売上予測 ・外部のシステムやツールとのAPI連携 ・電子取引のデータ保存 |
これらの機能が充実しているかどうかを確認し、自社のニーズに合ったサービスを選びましょう。
セキュリティシステムは厳重か
サブスク決済代行システムでは、顧客の個人情報や決済情報を扱うため、高度なセキュリティ対策が不可欠です。以下の点に注目して、セキュリティレベルを確認しましょう。
定期的なセキュリティ監査 | 第3者機関による脆弱性の早期発見と対策がされている |
リアルタイムモニタリング | 24時間体制での死活監視、障害監視、不正侵入検知、ネットワーク監視がおこなわれている |
PCI DSS準拠 | クレジットカード情報の取り扱いにおけるセキュリティレベルが高い |
国際的な認証取得 (ISO27001,ISO27017) | 外部からの攻撃だけでなく、内部からの漏えいや紛失といった包括的な情報セキュリティ対応がされている |
出典:ISO/IEC 27017(クラウドサービスセキュリティ)|日本品質保証機構
安全性の高いシステムを選ぶことで、安心してサブスクリプションサービスを運営できるでしょう。
トータルでかかるコストはいくらか
サブスク決済代行システムを導入する際は、トータルコストを事前に把握することが重要です。
<把握しておきたいコスト>
- 初期導入費用
- 月額利用料
- 決済手数料
- カスタマイズ費用(必要な場合)
大企業に比べて取引量が少ない中小企業は、初期費用がかからなかったり月額利用料が安かったりするサービスを選ぶとよいでしょう。
トータルコストを正確に把握することで、自社のビジネスモデルに最適なサブスク決済代行システムを選択できます。長期的な視点で費用対効果を考慮し、慎重に選定することが大切です。
【比較】サブスク決済代行システムのおすすめ
サブスク決済代行システムを選ぶ際、各サービスの特徴を比較することが重要です。ここでは、おすすめの5つのサービスを紹介します。
- CollaboOne
- SBペイメントサービス
- サブスクペイ
- サブスクONE
- ソニーペイメントサービス
CollaboOne
CollaboOneは、顧客・受注管理、料金計算、請求書発行、データ集計といったサブスクビジネスをワンストップで管理するサブスク決済代行システムです。あらゆる情報・業務をクラウド上で一元管理・自動化することで「見える化」を促進し、生産性向上をサポートします。
特徴 | ・サブスク管理に必要な機能がそろっているため、スピーディーにサブスクビジネスをスタート ・二段階定額、従量課金のほか、複雑な料金プランも設定可能 ・情報セキュリティ、クラウドセキュリティの国際基準をクリア ・SaaSの業務設計・運用改善も支援 |
料金 | ▼初期費用 なし ▼月額利用料 4,980円/月~ |
運営会社 | フォーバルテレコム |
SBペイメントサービス
SBペイメントサービスは、ソフトバンクグループが運営する決済代行システムです。サブスク決済代行システムとしても広く利用されており、2023年度は8.0兆円という業界最大規模の取引高となっています。
特徴 | ・40ブランド以上の豊富な決済手段を用意 ・継続課金は定期のほか従量にも対応 ・連携済みのECカートやメールリンク決済ならシステム開発不要 ・決済手数料は事業者の事業内容や売上金額などの条件をヒアリングしたうえで見積りが可能 |
料金 | 要問合せ |
運営会社 | SBペイメントサービス |
サブスクペイ
サブスクペイは、サブスクビジネスに特化した多彩な機能を備えたサブスク決済代行システムです。毎月のサブスク決済処理のみ利用する「サブスクペイ Standard」と決済~サイト作成~顧客管理まで対応できる「サブスクペイ Pro」の2つのプランを展開しています。
特徴 | ・サブスク申込サイトが簡単に作成できるサイト作成機能を用意 ・SFA, 予約機能, LINE連携, 帳票ツール, BIツールなどの機能拡張 ・サブスクペイで取得した情報は単一のデータベースで一元管理 ・支援実績は14,000社超 |
料金 | ▼初期費用 要相談 ▼月額利用料 要相談 ▼決済手数料 2.65%~ |
運営会社 | ROBOT PAYMENT |
サブスクONE
サブスクONEは、充実したサブスクリプション管理機能を備えたサブスク決済代行システムです。個人・小規模事業者向けプラン(ライトプラン)から既存事業を大規模に展開しているtoC/toB事業者向けのプラン(エンタープライズプラン)まで、あらゆるニーズに応えられるプランを提供しています。
特徴 | ・直感的で見やすいダッシュボード ・多様な課金パターンでサービスを自由に設計可能 ・あらゆる外部システムと連携可能 |
料金 | ▼初期費用 要問合せ ▼月額利用料 ライトプラン:月額98,000円〜 エンタープライズプラン:要問合せ |
運営会社 | サジェスタム |
ソニーペイメントサービス
ソニーペイメントサービスは、サービス開始以来30年の実績を誇る、決済代行サービスのパイオニア的存在です。デジタルサービスの提供や物販、金融・保険サービスなど、希望にあわせて決済を自在にコーディネート可能です。
特徴 | ・クレジットカード決済から電子マネー決済まで、あらゆる決済に対応 ・トークン決済でカード情報の安全を確保 ・オプションで外貨決済にも対応(2024年中に開始予定) |
料金 | 要問合せ |
運営会社 | ソニーペイメントサービス |
まとめ
サブスク決済代行システムは、ビジネスの効率化と顧客満足度向上に大きく貢献する重要なツールです。多くのメリットがある一方、コストがかかったりシステムエラーが発生したりするデメリットも考慮してシステムを選ぶ必要があります。
CollaboOneは、費用を抑えながらワンストップでサブスクビジネスを支援してほしい方にぴったりのサービスです。サービス導入時は専任のスタッフが一からサポートするため、サブスクに関する知識がない方もどうぞご安心ください。