2022/12/26

適格請求書とは?わかりやすく解説!インボイス制度導入後の発行に関わる注意点

2023年10月1日より導入されるインボイス制度に関連して、「適格請求書」という言葉を聞く機会が増えてきました。

インボイス制度における適格請求書とはどのようなものなのか、本記事ではその概要や発行に関わる注意点、従来の請求書との違いなどについて広く解説していきます。

適格請求書(インボイス)とは?

適格請求書(インボイス)とは?

「適格請求書(インボイス)」とは、売り手側が買い手側に対して、適用税率などの情報をより正確に伝えるために一定の要件を満たした上で作成される書類のことを指します。

インボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)は、この「適格請求書」を正しく発行し、保存するためのルールで、売り手と買い手の双方に適用されます。
それぞれの視点のポイントを、下表にまとめました。

売り手側・「適格請求書」を正しく発行して、写しを保存
・発行した「適格請求書」に誤りがあった際の対応
・返品や値引きがあった際の対応
買い手側受け取った「適格請求書」を確認して、正しく保存

「適格請求書」は、主に後述する「仕入税額控除」を受けるための証跡として用いますが、請求書の形式ではない、納品書や領収書、仕入明細書でも、「適格請求書」と同等の記入要件が満たされていれば、手書きや電子を問わず、「適格請求書」として用いることができます。また、相互の関連が明確な複数の書類(請求書と納品書など)の場合、全体で必要項目を網羅していれば、「適格請求書」として用いることが可能となります。

適格請求書に記載が必要な項目と記載のポイントは以下のとおりとなります。

必要な記載項目 ポイント
適格請求書を発行する事業者の氏名又は名称、及び登録番号 事前に適格請求書発行事業者の登録が必要です。
取引年月日 実際の取引が行われた年月日です。
取引内容(軽減税率の対象品目である旨) 軽減税率の対象品目に「※」や「△」等の記号を記載し、記号が軽減税率の対象品目であることを明示する方法があります。
税率ごとに合計した対価の額、及び適用税率 ・10%対象 **,***円
・8%対象 **,***円
などと税率ごとに合計した税込額を記載します。
税率ごとに区分した消費税額など ④で記載した合計額に対して、税率ごとの消費税額を記載します。
1円未満の端数処理は、一つの適格請求書について、税率ごとに1回の端数処理を行います。
書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 買い手が誰であるかがわかるように、氏名や事業者名称などを記載します。
不特定多数の販売を行う事業者(小売、飲食、タクシーなど)の場合には省略することができます。

下線を付けた項目が、現行(2019年10月1日~2023年9月30日の区分記載請求書等保存方式)の記載方式に追加されています。「適格請求書」は、紙で発行する場合でも電子データで発行する場合でも、必要となる記載項目は同じです。

「適格請求書」の発行フォーマットについて

適格請求書の発行フォーマット

「適格請求書」を発行する際のフォーマットは、法令・通達などで明確に定められたものはありません。必要な項目がわかりやすく記載されていれば、「適格請求書」として用いることができます。

インターネット上で「適格請求書 フォーマット」と検索すると多くの発行フォーマットが無料で公開されていますが、利用にあたっては注意が必要です。端数処理の計算方法や、複数書類対応などの細かなルールもありますので、わからないことがあれば、国税庁が運営する「軽減・インボイスコールセンター」や、所轄の税務署、信頼できる事業者にきちんと確認するようにしましょう。

「適格請求書」は従来の請求書と何が違うか?

適格請求書と従来の請求書の違い

「適格請求書」は、適用税率や税率ごとの消費税額をはっきりと記載することで、取引の透明性を高めることを目的に発行されます。
2019年10月1日に軽減税率が導入される前は、税率が一律だったため、請求書等に税額や税率の記載がなくても、控除されるべき仕入税額の計算も単純でした。しかし、軽減税率が導入されると8%と10%の税率が混在することとなり、仕入税額控除の計算が複雑化します。2023年10月1日から導入されるインボイス制度は、複雑化した納税額を正しく算出するための制度となります。

請求書等保存方式 区分記載請求書等保存方式 インボイス制度
(適格請求書等保存方式)
期間 ~2019年9月30日 2019年10月1日~
2023年9月30日
2023年10月1日~
軽減税率 導入前 導入後
ポイント 第三者が発行した書類を経理書類の証拠として保存することが義務付けられていたが、適用税率や税額の記入は義務とされていなかった 軽減税率に当てはまる品目があった場合は明示しなければならず、税率ごとに分けた合計金額の記載が必要 区分記載請求書の必要項目に加え、登録番号・適用税率・消費税額の記載が必要
記載項目 ①請求書発行者の氏名または名称
②取引年月日
③取引内容
④対価の額
⑤書類の交付を受ける者の氏名または名称
 - ⑥軽減税率の対象品目である旨
 - ⑦税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)
 -  - ⑧適格請求書発行事業者の登録番号
 -  - ⑨税率ごとの消費税額

「適格請求書」と従来の請求書の違いを比較すると上記の表になります。「適格請求書」をスムーズに発行するため、インボイス制度を理解するとともに、何がどう変わったかを、おさらいしておくようにしましょう。

あわせて理解すべき「仕入税額控除」について

仕入税額控除について

仕入税額控除とは、売上にかかった消費税から仕入れにかかった消費税を控除することを指します。

事業者が納めるべき消費税は「商品の売上時に顧客から受け取った消費税額から仕入・経費にかかった消費税額を差し引いた額」です。
原材料生産→加工・製造→小売業者→消費者といった商流のなかで、消費税が二重、三重に累積しないようにするために、仕入税額控除という仕組みが用いられています。

仕入れにかかった消費税は、以下の要件を満たしていないと、売上時の消費税から差し引くことができないので注意が必要です。

必要事項の記載を満たした帳簿の保存
請求書等の証憑保存

ここでいう帳簿の必要事項とは、「課税仕入れの相手方」「課税仕入れの年月日」「課税仕入れの内容」「課税仕入れの対価」「課税仕入れが軽減税率取引である場合はその旨」です。

なお、「3万円未満の公共交通機関に係る費用」「3万円未満の自動販売機や自動サービス機でのジュースなどの購入」「ポスト投函などの郵便サービスの利用」「回収される入場券など」「従業員に支給する日当や通勤手当などに関する課税仕入れ」「適格請求書発行事業者ではない者からの再生資源等の購入」などについては、請求書等の証憑保存の必要がありません。

インボイス制度導入後は、適格請求書発行事業者の登録番号が記載された適格請求書等でなければ、仕入税額控除が受けられなくなります。

適格請求書発行事業者への登録に関わる注意点

適格請求書発行事業者登録の注意点

適格請求書発行事業者への登録が必要

「適格請求書」は「適格請求書発行事業者」にならなければ発行することはできません。

適格請求書発行事業者になるためには、申請書を税務署に提出して登録を受ける必要があります。税務署の審査を通過すると、登録通知書が発行され、国税庁のホームページで登録番号などの詳細が確認できるようになります。

適格請求書発行事業者として登録することができるのは消費税の課税事業者に限られるため、免税事業者は登録することができません。課税事業者であれば法人や個人、フリーランスなどの形態は問わず、登録ができます。

申請方式の選択

適格請求書発行事業者の登録申請書は、郵送またはe-Taxによる提出になります。
郵送の場合は、国税庁のホームページから登録申請書をダウンロードし、必要事項を記入します。
必要事項を記入、確認したら管轄のインボイス登録センターへ郵送します。

e-Taxの場合は、オンラインでフォームに回答する形で申請ができます。郵送よりも早く審査が完了しますが、電子証明書や利用者式別番号が必要となりますので、事前に準備をしておきましょう。

インボイス制度を理解し、正しく適格請求書を扱おう

「適格請求書」について、概要や発行時の注意点、仕入税額控除などについて解説しました。

インボイス制度は2023年10月1日からスタートする予定ですが、直前に準備を始めるのでは、急なトラブルなどに対して迅速な対応をとることが難しいため、今の段階から必要なものを準備し、申請を済ませるようにしましょう。

適格請求書は売り手側も買い手側も取り扱う機会が増えることとなるため、インボイス制度についてより理解を深め、導入に備えておくことが重要です。

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