ストックビジネスとは、「継続的に収益を得られる」ビジネスを指します。長期利用を見込んだサービスの契約や会員を獲得することで、安定した収益を見込めます。今回は、ストックビジネスの具体例やメリットについて解説します。
目次
ストックビジネスとは?
近年、安定収益を目的としたストックビジネスに注目が集まっています。ストックビジネスとはどのようなビジネスなのか、以下で概略を解説します。
継続的な収益を得ることができるビジネス
ストックビジネスは、長期利用を前提としたサービスの提供で、継続的に収益を得るビジネスモデルを指します。身近なものでは、定期購入サービスや習い事の教室、ライフラインや電気・通信サービスが挙げられます。
ストックビジネスは、顧客と継続的な関係性を構築し、安定的な収益を獲得していくのが特徴です。収益が定期的に積み重なっていくことから「ストック」ビジネスと呼ばれています。
また、景気の影響を受けにくいのもストックビジネスの大きな特徴といえます。事実、コロナ禍においても、安定した収益を維持していた企業の多くが、このストックビジネスモデルを採用していました。
ストックビジネスとフロービジネスの違い
ストックビジネスの対語となる「フロービジネス」は、単発的に収益を得るビジネスモデルを指します。需要に応じて都度、商品やサービスを提供する小売業や飲食業などは、フロービジネスに該当します。
フロービジネスは、商品の販売数量や単価、顧客の購入頻度が収益を左右します。これらの要素は競合他社やトレンドなどの等外部環境の影響を受けやすく、ストックビジネスに比べると、安定した収益を見通すのが難しいといえます。
ストックビジネスとサブスクリプションの違い
「サブスクリプション」とは、顧客がサービスやデジタルコンテンツなどの利用権に対して、定期的に料金を支払うビジネスモデルです。近年では、音楽配信サービスや動画配信サービスなどを中心に広く普及しています。
ストックビジネスとサブスクリプションは混同されがちですが、両者はイコールではありません。ストックビジネスは、顧客と継続的な関係性を築き、安定的な収益を得る「ビジネスモデルの概念」を指します。一方、サブスクリプションは、そうしたストックビジネスを実現するための「課金方法の一つ」であり、主に「定期課金型モデル」を指します。
サブスクリプションは、ストックビジネスを実現するための具体的な課金方法の一つといえるでしょう。
ストックビジネスのメリット
ストックビジネスのメリットとしては、大きく以下の3点が挙げられます。
- 安定した収益が見込める
- 効率的に営業やマーケティングを行うことができる
- 購買行動データの蓄積により商品やサービスの改善ができる
それぞれについて、以下で詳しく解説します。
安定した収益が見込める
フロービジネスでは、売上を立てるために常に新規顧客の獲得や単発の販売を繰り返す必要があり、収入が不安定になりがちです。 一方、ストックビジネスは顧客と継続的な契約関係を築くことで、将来にわたって安定した収益を得られます。
例えば、毎月定額のサービスを提供している場合、顧客が解約しない限り、毎月安定した収入を得られます。新規顧客獲得のためのマーケティング費用を抑えつつ、既存顧客へのサービス向上にリソースを集中できるため、安定した収益基盤を築きやすくなります。
効率的に営業やマーケティングを行うことができる
一度獲得した顧客は、リピートのためのアプローチは必要なく、営業のリソースを新規獲得に振ることができます。
また、顧客との継続的な接点を活かして、絞ったターゲットに広告費用を抑えた効率的なマーケティングを行えます。
購買行動データの蓄積により商品やサービスの改善ができる
ストックビジネスでは、顧客との長期の関係のなかで、購買行動データを蓄積できます。利用するサービス、時間帯、問い合わせの内容などは、商品やサービスの品質改善に有益な情報となります。
ストックビジネスのクラウド業務管理サービス「CollaboOne」なら、顧客管理から収納まで一元管理することができ、ストックビジネスの立ち上げから運用改善まで徹底サポートします。
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ストックビジネスのデメリット
ストックビジネスには、安定収入や事業計画の立てやすさといったメリットがある一方、以下のようなデメリットも存在します。
- 収益化までに時間がかかる
- 顧客情報の管理が難しい
下記で詳しく見ていきましょう。
収益化までに時間がかかる
ストックビジネスは、顧客と継続的な関係を築く必要があるため、収益化までに時間と労力を要します。例えば会員制サービスの場合、顧客を獲得し、サービスの価値を感じてもらい、継続利用を促すまでには、ある程度の期間が必要です。コンテンツ販売であれば、質の高いコンテンツを制作し、認知度を高め、販売経路を確保するまでに時間がかかります。
また、一つの契約が大きな利益となるビジネスモデルではないため、収益を上げにくい点もデメリットです。ストックビジネスを始める際には、十分な事業資金が必要となります。
顧客情報の管理が難しい
ストックビジネスを継続するうえで、課題となるのが「顧客管理」です。顧客との信頼を構築するために、顧客情報の適切な管理は不可欠です。一方、顧客が増加するほど、管理の複雑性も増していきます。
例えば、顧客の氏名、連絡先、契約内容、利用履歴などの情報を正確に管理しなければなりません。また、請求・支払い管理では、顧客への請求、入金確認、未払い対応などを適切に行う必要があります。
これらの業務をすべて手作業で行うとなれば、業務量の増加やヒューマンエラーの発生は避けられないでしょう。顧客情報を適切に管理するためには、顧客管理システムなどのITツールを導入したり、外部の専門業者に業務を委託したりするなどの対策が求められます。
ストックビジネスの具体例
ここでは、ストックビジネスの具体例を9つの「型」に分けて紹介していきます。
定期購入型
サプリメントや食料品、日用品などの消耗品を定期的に届けるサービスです。日常的に消費する消耗品をわざわざ買いに行かなくても入手できる、需要の高いサービスです。
レンタル型
コーディネートされた衣装やハイブランドのバッグが、必要なときにレンタルできるサービスです。近年、消費者の所有欲が低下しているなか、資源の過度な消費を抑えるサステナブルの考え方にも沿ったサービスです。
定期メンテナンス型
定期メンテナンス型とは、製品や設備などを継続的に点検・修理・保守するサービスです。例えば、エアコンや給湯器などの家電製品、車検やオイル交換などの車両の定期メンテナンス、Webサイトのセキュリティ対策や更新作業などを請け負うサービスが挙げられます。
サービス型
エステや美容院、カフェなどで拡がり始めている、定額で複数回のサービスを利用できる仕組みです。店舗側が望むリピーターづくりと、利用者のお得感を両立させています。
教室型
ゴルフ教室やヨガ教室など、習い事もストックビジネスの一つです。従来の教室に通うスタイルに加え、リモートでサービスを受けられるオンラインレッスンも拡がり始めています。
ASP型
ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)は、インターネットを介してソフトウェアなどを提供するサービスです。例えば、会計ソフト、顧客管理システム、人事管理システムなどが挙げられます。サーバ管理やセキュリティ対策は事業者が行うため、ユーザーは定額利用料だけで手軽にソフトウェアを利用できます。
インフラ型
電気・ガス・水道のライフラインや、電話やプロバイダー等の電気通信サービスも、収益モデルはストック型となっています。
ストックビジネスを管理するおすすめツール
ストックビジネスの成功には、顧客との長期的で良好な関係構築が不可欠です。信頼関係を築くうえで重要になるのが、顧客情報の管理です。
ここでは、ストックビジネスをサポートする顧客管理のおすすめツールを3つご紹介します。
CollaboOne
CollaboOneは、サブスクビジネスをワンストップでサポートするクラウド業務管理サービスです。顧客・受注情報から料金計算、データ集計・抽出まで一括管理。顧客情報の変更履歴や対応履歴も一元管理できるため、問い合わせに迅速に対応できたり、顧客ニーズに合わせた提案をできたりと、柔軟な顧客対応を実現できます。
また、セキュリティ対策が万全なのも強み。ISO27001、ISO27017の認証を取得しており、情報漏洩が不安な企業様にもおすすめです。追加サービスでWeb請求書の発行や決済代行も選択できるため、企業様のニーズに合わせた使い方ができます。
Scalebase
Scalebaseは契約管理・料金計算・請求・代金回収までの業務をシームレスに実現する販売・請求管理SaaSです。従量課金と定期課金を組み合わせたプランや日割り、割引などの複雑な料金計算にも対応し、迅速かつ正確な請求処理を実現します。
また、毎月の売上高を正確に集計し、ダッシュボードで可視化してくれるのもポイント。正確なデータを事業分析に生かすことで、効率的な事業成長に繋げられます。
ソアスク
ソアスクはサブスクリプションやストックビジネスの販売管理プロセスを効率化する販売管理サービスです。Salesforceプラットフォームを採用しており、大量のデータもスムーズに処理することが可能。多要素認証やデータ暗号化といったセキュリティ対策も完備しています。
また、外部サービスとの連携が容易なのも特徴です。SFA/CRMや会計ソフトとの連携により、手入力の手間を省略。業務効率アップとヒューマンエラーの防止を実現します。
まとめ|ストックビジネスで継続的な収益向上を目指す
近年では消費者の、物を購入して所有する欲求が薄まり、これまでフロービジネスで提供されていた商品やサービスが、ストックビジネスによる提供に置き換わり始めています。
事業者の目線においても、単発的な顧客の獲得を続けるフロービジネスに替わり、顧客と長期的な関係性を結び、継続する収益を上げるストックビジネスに注目が集まっています。